自由研究所

大学院を辞めた。元院生としか名乗れない何者でもない名刺を持たない25歳のお話。

『図書館の神様』を探していたら『図書館戦争』に出会って人生変わった話

 

『図書館の神様』を探してたら

図書館戦争』に出会って

人生変わった話

人生の中で最ものめり込んだ作家といってもいい有川浩。中学一年生の頃に当時の担任から『図書館の神様』(瀬尾まいこ)の主人公があなたにそっくりよ、と言われ探していたら『図書館戦争』に出会ったのがはじまり。

『図書館の神様』の主人公は、明朗快活で勉強もできるし運動もできるけど孤独らしい。そんな孤独な所が私と似ているらしい。

 

この担任は度々私のことを孤独だねと笑ってくる。

 

この頃の中学生というと友達グループやスクールカーストがより強固になり、「ぼっち」にならないようにお互いの顔色を窺いあい慣れ合い始める時期だった。人間関係もより複雑になり、誰々が誰々のことを嫌っているだの誰と誰が付き合ってるだの別れただの、日々の情報に最新の注意を払い身の振り方を考えなければいけなかった。処世術も知らない多感な思春期には疲れる毎日だったが、それでも「ともだち」と毎日楽しく過ごそうとみんなもがいていた。

 

そんな中での「孤独」という言葉は、誉め言葉ではない。

むしろバカにされているように感じられた。

 

私は、孤独な主人公とは似ても似つきません!と跳ね返してやるのだと意気込んで図書館に行ったのだった。

 

『図書館の神様』の場所を司書の先生から聞いていざ棚に行ってみると、『図書館の神様』はなく代わりに『図書館戦争』という本が目についた。

 

なんだが物騒なタイトルだけど戦争の最中に神様が出てくるに違いない。本の中を開けもせずに借りた。主人公はきっと図書館の神様で、きっときっとその神様が戦争を止める話なんだ。

 

ところがどっこい。主人公は神様なんかじゃなかった。

 

そもそも神様なんて出てこなかった。

 

(『図書館の神様』にも神様は出てこなかった)

最初の1ページ目から運動神経だけが取り柄の体育会系女子が教官に怒鳴られながら走り回り腕立てをする描写。

果たしてこの体育会系女子が孤独なのか。私に似ているのか。

当時運動部に属しこそしていたが、運動神経がいいわけでもないし、脳みそまで筋肉になってしまいそうな熱血な人は苦手だった。

そもそもこんな熱血で熱く指導されている人が孤独?

一体どこが孤独なのかさぁ見せてごらん!

 

結論から言うと『図書館戦争』は『図書館戦争』であって『図書館の神様』ではないので主人公が孤独なわけではなかった。ただ、願い通り私とは似ても似つかなかった。

 

『図書館の神様』だと思って読む『図書館戦争』は最初のページで違和感こそ感じたものの、読み進めていくと神様が居ないことも熱血体育会系な登場人物も何にも気にならなくなって、借りたその日に一冊300ページ近くを読みほした。

 

部活も宿題も予習復習も進研ゼミもピアノの練習も家の手伝いもあったけど、全部終わらせた上で徹夜して読んだ。

図書館戦争を言い訳に何かの手を抜いたら図書館戦争に対して失礼だ。

登場人物たちに恥じぬよう全部全力で終わらせて全力で読破した。

『図書館の神様』という誤解を跳ね除けたったの半日で、あっという間に信者のかんせーい。

 

そこから沼にはまり、小学生のころからコツコツ貯めていたお小遣いを図書館戦争に貢いでいくことになる。

すぐにハードカバーで図書館戦争全巻を揃えた。

図書館戦争は小説には珍しく参考文献がついていたので、その参考文献も全て読んだ。

閉架図書を利用し他図書館からも取り寄せ、中学生ができうる限り真摯に取り組ませていただいた。

気が付けば自由研究は「図書館の自由に関する宣言」になっていて、進路希望も「図書館」について学べる大学を探し始めていた。

おバカ。

 

実家では完全にネット環境が遮断されていたが、祖父母宅にあるPCのセキュリティをかいくぐって必死に二次創作を読んだ。

アニメが放送されたらネットでもTVでも視聴し、もちろん録画もした。

アニメDVDも初回購入者特典付きのものを予約して購入し、文庫版が出れば文庫版もまた購入。

実写映画化と聞けば学生ながら6回も映画館に足を運んで、プレミアムDVDBOXも購入した。

 ただ、中高生のお小遣いでここまで貢ぐことができるわけもなく、アニメDVDは奇数巻しか揃えられなかった。痛恨の極み!

 

極めつけは、大学の学部も図書館戦争をこじらせて選びそこに進学したこと。

大学入試の時点で図書館情報大学はなくなっており、模試の志望校記入欄に書けないことが残念だった。入学の意志は正直なかったが、「図書館」と大学名にあるからには書いてみたかった。

 

とにもかくにも、私は青春時代を図書館戦争と共に過ごした。図書館戦争に出会っていなければこの学部に進学することもなかっただろうし、「ヲタク」と呼ばれる界隈を覗くことすらしなかったかもしれない。遅かれ早かれ染まったかもしれないけど。

この学部に進学してなかったらこんな生活送ってないだろうしまんまと人生変えちゃったなあというお話。

 

『図書館の神様』も面白いので読んでみてね。

 

 

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