本の思い出ってストーリだけじゃなくてそれに付随する思い出がどんなものかにもよるよね
それほど熱中してたわけでもないし「大好き」だったわけでもないのに、ふと頭をよぎる思い出。『番ねずみのやかちゃん』もそんな思い出の一つ。『番ねずみのやかちゃん』と私たち姉弟。
番ねずみのやかちゃん
・あらずじ
ねずみである「やかましやのやかちゃん」とそのネズミの家族。やかちゃんたちが間借りする家の人間達のおはなし。
やかちゃんのセリフは太文字で、やかちゃんはとにかくやかましい。
この本は当時中学生だった私が当時保育園児だった弟に読み聞かせしていたお話。
隣に居る弟はやかちゃんセリフが来るたびに真似をしちゃう。
すっごくうるさいけど、これがとても楽しかった。
とてもとても楽しくて、私もげらげら笑った。
もちろんストーリーそのものもとても面白いんだけど、『番ねずみのやかちゃん』はこどもを爆笑の渦に包む事を狙いとして書かれたものではない。はず。とにかく一緒に笑い転げるのが楽しかった。
大抵本を読む時間は寝る前で、タオルケットを首まで被ってから本を読み始める。
そんな寝るまえの時間にこの本を読むともう、
やかちゃんのまねっこで大声を出して興奮して興奮して。興奮して目が冴える。
眠るどころかテンションが上がりすぎて最終的には暴れだしてしまう。さっきまで首まで被っていたタオルケットはマントと化し、敷布団の上はあっという間にリングとなる。本を読んでいたのもすっかり忘れて暴れん坊怪獣の爆誕。
そうなるともう大変だ近所迷惑だ。
弟はもう手が付けられないほど興奮して口から火を噴いて見えない敵と戦っている。
敵を見誤って私まで攻撃を受ける。痛い!やめて!早く寝るよ!と私も叫びまくる。まあ心のなかではそんなこと1mmしか思ってなくて、9mmくらいは大声を出して一緒に楽しんでいた。
私自身もストレス発散していたのかもしれない、と今は思う。
どんなにやかましくしてもこの本を取り上げなかった親は偉大だ。
もしかして何を言っても無駄だと諦めてたのかもしれないけれど。
保育園児の寝かしつけに使うにしては思っていたよりも文字が多いしフルカラーでもない。大爆笑コメディでもない。それでもあんなに楽しかった思い出として残っている。もちろんそれだけこどもの心を惹きつける内容だったりアイデアだったりするわけだけれども。
本の思い出ってストーリだけじゃなくてそれに付随する思い出がどんなものかによるよねってお話。