自由研究所

大学院を辞めた。元院生としか名乗れない何者でもない名刺を持たない25歳のお話。

自由研究するんだ

一度は研究の道に進もうとしたものの、心と体を壊してしまいどうにもこうにもならなくなってリタイア。

キャンパス内では世界がぐるぐる回って見えて真っすぐ歩けないし、机に向かっても30分に一度はどうしようもない腹痛でトイレに立つ。学校に行く度に熱が出て、1日行って1週間寝込んでまた1日行って1週間休んで…。気晴らしに1日友達と遊んでみようものなら1ヶ月は使い物にならない。

学校まで自転車で5分なのにいつの間にか自転車にも乗れなくなっていて、いつの間にか立ち上がるのも難しくなった。昏々と横になり続け、辺りが暗くなってから買い物に行きご飯を買うも食べられない。知り合いに似た姿が目に入っただけで心臓が飛び上がりスーパーで吐く。

もう上体を起こしておけない。

ぼんやりとした頭は思考なんてできなくて、人生であった嫌なことが走馬灯の様に巡り私を支配する。

体の上では虫が駆け巡り、窓の外にはおじさんが張り付いている。(現実にそんなことはない)

 

「あれ、私もう無理かも。」と思った時には手遅れだった。

 

 

 

そんな状態から1年経って、それでもまだまだ色んなこと知りたいし読みたいし書きたいと思えるようになった。

「~たい」と書いたけど、心持ちとしては欲求というより義務感?使命感?はたまた老いへの恐怖?

 

頭は思考し続けないと衰えるし、言葉も使っていかないと引き出しがどんどん閉まっていく。

 

私の趣味は読書、映画鑑賞。メイクも洋服も好きかも。音楽も好きかも。

博物館も科学館も美術館も好き。買い物も好き。料理も好き。

 

ひとつずつ、好きなことを思い出していかないと。

 

もう大学院を辞めたんだから、自由にするんだ。

 

研究だってもう自由だ。

 

自由研究するんだ。